それからというもの、
この国には 時々金の露がもたらす
不思議な話があちらこちらで聞こえるようになりました。
日本一の山のふもとにある村でのことです。
長い間、村で有名な頑固もののおじいさんがいました。
村長かというと、そうではなくて、
それでも いつでも村のことを1番に考えてくれるので、
村の人は 不器用なところも含めておじいさんが大好きでした。
ある日のこと。
おじいさんは はぁとため息をついていました。
「肝臓がいかれちまったんだ、わしはもうこの先長くないんだとよ・・」
お酒が大好きだったおじいさん、
最近 村の人から 顔色がおかしいと言われて
友人の医者にみてもらった後に続いたのがこのため息でした。
おじいさんは家の縁側に座りながら、
上を見上げてこう言いました。
「ばあさんのところへ行く前に、もう少しここでみんなの顔が見たかったなぁ」
そう言いながら口を開いた瞬間、
ポツポツ、トトッ
空から突然、金色の雫が数的、 おじいさんの口もと目がけて降ってきたのでした。
「うん?なんだこれは・・雨か気のせいか・・」
そう言いながら、おじいさんは急に眠くなって
縁側で 居眠りをしはじめてしまいました。
そのまま、日が暮れて朝になり、おじいさんは目を覚ましました。
「ん?こんなところで寝てしまったのか・・あれ?なんだか体が軽いぞ・・?」
毎朝おじいさんは散歩に出かけるのですが、
会う人会う人に
おじいさん、元気になってよかった、顔色がいいじゃない、と褒められたりお祝いされました。
何のことやらわからずおじいさんが不思議に
家に帰って鏡を見ると、たしかに 顔色が良くなっています。
おじいさんの噂を耳にした医者は急いで駆けつけてくれました。
「なんと驚いたことに・・病気がどっかいっちまった。おじいさん、あんたはもう10年は元気に生きられるはずさ。」
おじいさんは心の底からびっくりたまげました。
頑固者の名の通り、どんなことがあっても泣かないと有名なおじいさんでしたが、
嬉しくて涙が頬を伝っていました。
「生きられるって嬉しいなぁ、なんだかわからないけれど、お天道様、ありがとう」