青年の住む町は
目に見えない「菌」を大切にする町でした。
中でも青年の家は 代々大きな味噌蔵を構えており、
調味料としてだけでなく 病にかかった尋ね人に
古い味噌をわけて 町の食養生としてのお医者さまを担う家でした。
そこで育った青年は、昔から「菌」が見え、
菌や野菜と話をすることができる不思議な力がありました。
今でこそ不思議な、と表現しますが
一人っ子の彼にとって、菌たちは 遊び相手、友達のような存在だったのです。
オリスが書いた手紙の入った瓶を開けたとき、
そこにはたくさんの「菌たち」がくっついていました。
この菌たちには見覚えがある、とすぐに思い浮かんだのは きのこでした。
そして菌たちは口々に「長寿の秘密は 森の奥から生まれた金のきのこ」と言うのでした。
このことを聞いたオリスは、
町の人が大好きな このジャングルだけでとれる
金色をしたきのこの生息地に青年を案内したのでした。