それから、北の町には
町の外からたくさんの人が押し寄せてきました。
その理由はもちろん、あの「長寿の町」の秘密が
オリスが住む北の町のジャングルの奥で採れる
金色のきのこが理由だと知られるようになったからです。
これまでは ひとっこひとり寄りつくことのなかった
オリスの家にもいろんな人が訪ねてきました。
この町の人が 大好きだった金のきのこを狩りにいっていたのは、
誰あろうオリスだったからです。
おばあさん、お父さん、お姉さん、小さな子まで。
彼らは 南の町や東の町、別の地域からはるばるやってきたことが
よくわかる、くせのある言葉を話していました。
オリスはみんなの話に耳を傾けながら、
ぼうっと 青年がきのこを発見した時のことを思い出しました。
青年を森の奥へ連れて行った時のこと。
「あっ」と青年があるところで立ち止まりました。
その場所は、たしかに ちょうどその先から
金のきのこがところかしこに隠れている場所でした。
きのこ狩りを仕事にしていたからこそ、
長い時間の中で分かった、ここからだ、という地点に、目印を置き、
きのこを見逃さないようにそろりそろりと歩き始める場所なのでした。
青年は、目印には気づいていないようでした。
「どうしてわかったんだい?」と青年に聞くと、
「オリス、誰かが君の名前を呼んだからさ。」と青年は答えました。