この噂は瞬く間に知れ渡りました。

理由を突き止めようと、数人の学者がジャングルへやってきましたが

すぐにこの理由はわからないようでした。

そうして またジャングルが静かになった頃、

青年が戻ってきました。

オリスはことの一件を青年に話すと、

青年も驚いたようで、また金のきのこに会いに行くことにしました。

このジャングルは生命力高く、

いつ来ても様子が違っています。

それだけ植物たちが元気に育つので、

1日もすれば 景色が変わってしまうのです。

それでも「あっ」と青年が立ち止まった場所はやはり、

木の目印のそばでした。

「プンプン怒ってるよ」と青年は言いました。

青年が 金のきのこのつぶやきを訳してくれました。

♪♪

まったく、なんだって あんなに多くの大人が

むさぼるようにおれ様を採っていくんだ。

生まれただけで最高だから

採って人の力になることは なんてことない。

おれ様は神に頼まれた医者なんだから当然だ。

さいこう、さいこう、もう最高。

だっても、そんなに乱暴に扱わないで、

すくうように手にしてくれたら嬉しいのさ。

そうか、とオリスは金のきのこに申し訳なく思いました。

オリスがきのこに向かって謝ると、なんとなく、気が済んだようでした。

金のきのこは偉そうなやつだと思いましたが、

ちょっぴりプライドは高いけれど、

実は素直なやつなのかもしれないな、とオリスは思いました。

神のきのこの物語

自然の恵みが与えた奇跡
長寿の町のジャングルの奥地に住む変わり者のオリスと海を越えてきてやってきた青年からはじまる「神のきのこ」の不思議なお話しです
Story22 画家になった少年と金の雫

Story22 画家になった少年と金の雫

Story21 心の病と祠に導かれた少年

Story21 心の病と祠に導かれた少年

Story20 鳩が運ぶお守りと、消えた病の巣

Story20 鳩が運ぶお守りと、消えた病の巣

Story19 走る男と広まる祠のうわさ

Story19 走る男と広まる祠のうわさ

Story18 村のはずれの金の雫の祠

Story18 村のはずれの金の雫の祠